お腹のなかで成長している赤ちゃんには、穏やかで幸せな人生を送ってほしいと考えるでしょう。
ママは体が大変ななか、つらい思いをして覚悟を決めて未婚シングルマザーになると決断したはずです。
決断をして一息つきたいところですが、認知についても忘れてはいけません。
今回は、未婚シングルマザーが知っておきたい子どもの認知についてご紹介します。
認知は子どもの戸籍や人生に関わるもの。
子父とやり取りをするケースも想定し、じっくりと考えましょう。
未婚のままシングルマザーになるということとは
日本では、未婚(籍を入れていない)の状態でも出産をすることができます。
赤ちゃんはママのお腹で育って生まれてくるため、子どもとママの血縁関係は明らか。
ですが、父親は誰なのかわかりません。
そのため、未婚の状態で出産すると、子どもの戸籍にはママだけが記載されるのです。
ママは子どもの父親が誰かわかっていても、そのままでは法律上で父子関係を確定することができません。
父子関係を明らかにするものとして『認知』が用いられます。
未婚シングルマザーが知っておきたい『認知』とは?
認知とは、子どもと子父の父子関係を法律によって明らかにする手続きです。
子父が認知することで、自分の子どもであると認めたことになります。
戸籍にも父親の欄に名前が記載され、養育費の支払い義務も発生します。
子父に養育費を支払ってほしい場合には、認知が必ず必要です。
認知の方法は3種類あります。
認知①:任意認知
任意認知とは、子父が認知届を提出することで成立する認知の方法です。
事実婚など、比較的ママと子父の関係が良好な場合に選ばれます。
認知届の提出先は、子父もしくは子どもの本籍地。
届出人の所在地でも提出することが可能です。
子父と子ども、それぞれの戸籍謄本も用意しましょう。
また、妊娠中にも認知をすることができ、その場合には胎児認知を提出します。
胎児認知の提出先は、ママの本籍地です。
子父の戸籍謄本に加えて、ママが記入する承諾書を用意しましょう。
残念ながら、「認知届を出した」と言いつつ実際は提出していない…というケースも。
認知届を出したと連絡がきたら、必ず戸籍謄本を取得して確認しよう。
認知②:強制認知
強制認知とは、認知調停によって成立する認知の方法です。
子父が認知に応じない場合、子どもが子父に認知を請求することができます。
認知調停にて強制認知が成立すると、子父の意思を問わず認知が発生。
戸籍にも父子関係が記載されます。
場合によっては、DNA鑑定を行うことも。
DNA鑑定には別途費用が必要になるため、事前にどれくらいのお金を用意するべきか計算しておきましょう。
また、養育費などの関係から子どもが未成年のうちに認知をしてほしいと考えるはずです。
その場合には、親権者となるママが手続きを進めます。
ママ一人でもできますが、味方となる弁護士がいると心強いです。
認知請求は調停前置主義が適用されるよ。
いきなり訴訟は起こせないルールのため、まずは認知調停をしよう。
認知③:父親の死後の認知
子父が亡くなっていても認知は可能です。
強制認知と同様に、認知請求をしましょう。
子父は亡くなっているため、調停前置主義は適用されません。
検察官を相手に認知訴訟を申し立てます。
父子関係が証明されると認知の成立です。
また、子父が遺言書にて子どもを認知する内容を記載していることがあります。
この場合にも、認知を成立させることが可能です。
ただし、手続きは遺言執行者が行います。
遺言で遺言執行者が指定されている場合はその人が、指定されていない場合には裁判所にて申し立てが必要です。
子どもの認知の有無によるメリット・デメリットをご紹介
子どもから父親の存在を奪いたくない、子父にもしっかりと責任を取ってほしいなど、子どもの認知についてたくさん悩むママがほとんどです。
ママと子父の関係から、認知をすることで関わりが生まれたらどうしよう…と不安を抱くこともあるでしょう。
子どもの認知の有無によってどのようなメリット・デメリットがあるのかご紹介します。
一度認知をすると、基本的に取り消すことができないよ。
みけも本当に子どものためになるのか、生まれてくるまでずっと悩んでいました。
ママの感情だけでなく、子どものこれから先の人生を考えて慎重に決めよう。
認知ありの場合のメリット・デメリット
子どもを認知してもらうメリットは、戸籍に子父の名前が記載されることです。
家族の形はたくさんあれど、まだまだ両親が揃った家庭が一般的。
子どもが大きくなるにつれて、父親がいないことに戸惑うかもしれません。
「どうしてパパがいないの?」と聞かれたときに、認知があると父親の存在を証明することができます。
自分にもママ・パパがいるという実感は、自己肯定感の向上にもはたらきかけてくれるはずです。
また、認知すると養育費の支払いの義務が発生します。
支払いが滞ったときにも、差し押さえに進むことができるのです。
保育料や学費、習いごとなど、子育てには多額のお金が必要になります。
一人で家計を支えるママにとって、養育費の支払いはいざというときに心強いでしょう。
子どもを認知してもらうデメリットは、父子関係を断ち切ることができないことです。
認知をされた子どもは、子父が亡くなったときに相続権を取得します。
子父に配偶者やほかの子どもがいる場合、遺産分割協議に加わらなければなりません。
遺産相続は関係が良好な家族でもトラブルになりやすいもの。
トラブルが起きたときには、子どもが余計なストレスを抱えることになるかもしれません。
ほかに、父子関係が証明されることで面会交流の可能性や扶養義務も発生します。
みけは認知をしてもらっていますが、今のところは養育費の支払いのみ。
子どもが大きくなって理解ができるようになったとき、それでも子父に会いたいと思えば面会交流に協力しようと思っています。
認知なしの場合のメリット・デメリット
子どもの認知をしてもらわないメリットは、子父のトラブルに子どもを巻き込ませる心配がないところです。
子父に借金などの負債がある場合、認知があると相続権が発生してしまいます。
認知がないということは、戸籍上で子父との関係が証明されていないということ。
赤の他人となり、余計なトラブルに巻き込まなくて済むのです。
さらに、子父に犯罪歴などがある場合、子どもが目指す職業によっては悪影響になる可能性もあります。
認知をしてもらわなければ、子父がどのような人間であっても子どもの人生にはまったく関係がありません。
子どもの認知をしてもらわないデメリットは、養育費の支払いを強制執行できないことです。
認知ありの場合、支払いが滞ると給料や財産を差し押さえすることができます。
認知がないと、差し押さえを請求することができません。
まとめ
未婚シングルマザーが出産した子どもの認知についてご紹介しました。
認知はDNA鑑定などによって証明され、一度認知すると取り消すことができません。
子どもの人生にも大きく関わるものであるため、しっかりと考えて認知の有無を決めましょう。
子父との関係によっては、心身に負担がかかることも多いです。
専門家となる弁護士に相談することをおすすめします。