未婚での出産を決めたママにとって、お金の負担やもらえる手当はとても気になる話題でしょう。
これから生まれてくる赤ちゃんが不自由なく生活するためには、十分なお金が必要です。
とはいえ、出産にも大きなお金がかかります。
「いまは出産にかかるお金で手一杯…」というママもいるかもしれません。
実は、国や自治体では未婚シングルマザーが対象となる手当が設けられているのです。
この手当を活用することで、お金の心配を軽減することができますよ。
今回は、未婚で出産する場合の手当の種類や申請方法をご紹介します。
未婚で出産する場合にもらえる手当とは
未婚で出産する場合、もらうことのできる手当は5種類あります。
・出産育児一時金
・出産手当金
・育児休業給付金
・児童手当
・児童扶養手当
申請方法は手当の種類によって申請先がさまざま。
手当の内容によっては、既婚・未婚を問わず対象とならない手当もあります。
どの手当が自分の対象となるのか、どこになにを申請しなければいけないのか、しっかりと確認することが大切です。
出産後は初めての新生児育児に加えて、ママの体調も万全ではないもの。
妊娠中の体調の良いときに調べておくことをおすすめします。
国が設ける手当のほかに、自治体で独自に設けている手当や制度もあるよ。
妊娠届を提出して母子手帳を受け取るときに、手当や制度についても直接確認しておこう。
出産育児一時金
出産育児一時金とは、出産時の経済的負担を軽減するための手当です。
国民健康保険や社会保険に加入し、妊娠12週(85日)を超えての出産であると手当をもらうことができます。
2023年現在、出産育児一時金にて支給される金額は原則50万円です。
産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産する場合には、48.8万円が支給されます。
出産育児一時金を受け取る方法は以下の3種類があります。
・直接支払制度
・受取代理制度
・直接申請
産後の退院日に大きな金額の現金を用意する必要がないことから、直接支払制度の利用が一般的だよ。
クレジットカードにポイントを貯めたい、海外で出産したいというママは直接申請を活用しよう。
出産育児一時金の申請方法をご紹介
【直接支払制度を申請する場合】
1.医療機関にて支払制度に関する申込書を受け取る
2.必要事項を記入して申請する
3.出産後、医療機関が明細書を発行して支払機関に請求する
4.支払機関が明細書をもとに健康保険組合に請求する
5.健康保険組合から支払機関に支払う
6.支払機関から医療機関に支払う
直接支払制度の場合、ママが行うことは申込書の記入と提出です。
出産費用が支給額を超えた場合には、超過分を退院時にママが医療機関に支払います。
出産費用が支給額を超えなかった場合には、健康保険組合にママが請求することで、差額分を支給してもらうことが可能です。
【受取代理制度を申請する場合】
1.支払制度に関する申請書に必要事項を記入して健康保険組合に申請する
2.健康保険組合から医療機関に受付通知書が送られる
3.出産後、医療機関から健康保険組合に明細書が送られる
4.健康保険組合から医療機関に支払う
受取代理制度と直接支払制度は、ママにとって大きく異なる点はありません。
規模の小さな医療機関や助産院での出産を希望する場合、受取代理制度にて申請する流れが多いです。
直接支払制度と同様に、超過したときはママの負担に、超過しなかったときには差額分を支給してもらうことができます。
【直接申請をする場合】
1.支払制度に関する申込書の「制度を利用しない」にチェックを入れて申請する
2.出産後、医療機関に出産費用の全額をママ自身で支払う
3.直接申請の申込書や合意書、明細書とともに健康保険組合もしくは市区町村に提出する
4.ママが指定した金融口座に出産育児一時金が入金される
クレジットカードでの支払いや海外での出産を希望する場合、直接申請が必要です。
ただし、出産後の退院時には全額をママが支払わなければなりません。
一時的に大きなお金を使うことになり入金まで時間もかかるため、慎重に考えることが大切です。
出産手当金
出産手当金とは、産休中のママに支給される手当です。
勤務先の健康保険(社会保険)に加入しているママが対象となり、国民健康保険に加入しているママは受け取ることができません。
出産手当金が支給される期間は、出産日(予定日を超えての出産の場合は出産予定日)より42日から出産日の翌日以降56日までです。
この期間のなかで、給与の支払いがなかった日数が対象になります。
1日あたりの金額は、支給開始日より前の12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3です。
以下に当てはまるママが対象になります。
・勤務先の健康保険(社会保険)に加入している
・妊娠4ヶ月以降に出産する
・出産のために休業している(産休を取得している)
また、以下に当てはまるママは退職後でも対象になります。
・退職日までに1年以上継続した被保険者期間がある
・健康保険の資格喪失時に出産手当金を支給されているもしくは支給の条件を満たしている
出産手当金の申請方法をご紹介
出産手当金は、出産手当金支給申請書を協会けんぽや健康保険組合に提出することで申請できます。
会社の労務担当者から申請書を受け取って申請することはもちろん、ママ自身が協会けんぽや健康保険組合からダウンロードした申請書を使うことも可能です。
1.出産手当金支給申請書をママが記入する
2.妊婦健診時などに、医師・助産師に必要事項を記入してもらう
3.事業主に1ページと2ページを記入した申請書を渡す
4.事業主に必要事項を記入してもらい、協会けんぽや健康保険組合に提出する
5.ママが指定した金融口座に出産手当金が入金される
申請書には、ママや事業主だけでなく医師・助産師に記入してもらう項目があります。
申請が遅いほど入金も遅くなるため、余裕を持って申請書を準備しましょう。
出産手当金の支給は、産休終了後の申請で数ヶ月程度かかるといわれています。
出産直後に産前分、産休終了後に産後分など、2回に分けて申請するママもいるようです。
出産手当金の申請期限は2年間。
育休を2年間取得し、復帰後に申請すると一部期限が切れてしまう可能性があるよ。
労務担当者に相談し、いつ申請するべきか確認しておこう。
育児休業給付金
育児休業給付金とは、育休中のママに支給される手当です。
出産手当金と同様に、雇用保険から給付金を受け取ることができます。
そのため、国民健康保険に加入しているママは育児休業給付金の対象外です。
育児休業給付金の金額の目安は、給料の67%。
育休開始から半年が経過すると、それ以降は50%が給付金の金額になります。
なお、育児休業給付金には税金がかかりません。
そのため、育児休業給付金を受け取っている期間は健康保険料や厚生年金保険料の支払いも免除になります。
育児休業給付金の申請方法をご紹介
育児休業給付金の申請は、事業主(会社)が行ってくれることが多いです。
申請の準備となる育児休業給付受給資格の確認は、事業主だけができる手続き。
そのため、申請そのものも事業主に行ってもらったほうがスムーズといえます。
ママは事業主からの連絡に沿って、必要な書類を準備しましょう。
ママが用意する書類は以下の通りです。
・育児休業給付受給資格確認票
・育児休業給付金支給申請書(初回のみ)
・マイナンバー
・母子健康手帳の写し
育児休業給付金は、子どもが1歳未満の間だけが対象になるよ。
保育園に入れないなど、延長事由がある場合は1歳半または2歳までの延長が可能です。
児童手当
児童手当とは、原則すべての子育て世帯に支給される手当です。
中学校卒業まで(15歳の誕生日を迎えて最初の3月31日まで)の子どもを養育している世帯が対象になります。
児童1人を扶養している場合、所得制限限度額は660万円(収入額の目安は875.6万円)、所得上限限度額は896万円(収入額の目安は1124万円)です。
所得制限限度額を超えると、支給額は一律月5,000円になります。
所得上限限度額を超えると、児童手当は支給されません。
児童の年齢と扶養が1人の場合の支給額(月額)は以下の通りです。
・3歳未満:15,000円
・3歳以上小学校終了前:10,000円
・中学生:10,000円
児童手当の支給は、原則6月・10月・2月の3回。
それぞれ月額をまとめて支給されるよ。
(例:6月支給の場合は2〜5月分)
児童手当の申請方法をご紹介
児童手当は、市区町村での請求手続きが必要です。
原則、請求した月の翌月分から支給されます。
赤ちゃんが生まれたら、できるだけ早く認定請求を申請しましょう。
赤ちゃんが生まれた翌日から15日以内の申請が原則です。
1.市区町村の窓口にて、児童手当の認定請求がしたいと伝える
2.健康保険被保険者証の写し、銀行の口座番号が確認できるものを提出する
赤ちゃんが月末近くに生まれた場合、15日以内であれば翌月に申請しても出生月から支給されるよ。
申請忘れがないよう、出生届の提出とともに児童手当も申請しよう。
児童扶養手当
児童扶養手当とは、ひとり親世帯に支給される手当です。
18歳になった年度末までの子どもを養育しているひとり親世帯が対象になります。
なお、児童扶養手当には所得制限があるため注意が必要です。
児童が1人でママが請求する場合には、全部支給で収入額が160万円(所得額は87万円)、一部支給で収入額が365万円(所得額は230万円)と定められています。
2023年4月から、全部支給は月44,140円、一部支給は月44,130円〜10,410円が支給されます。
児童扶養手当の支給は、原則奇数月の11日。
支払日が土日祝にあたる場合は、支払日直前の金融機関営業日に繰り上げられるよ。
児童扶養手当の申請方法をご紹介
児童扶養手当は、児童手当と同様に市区町村での請求手続きが必要です。
書類を提出後に審査が行われ、認定されると通知書が送付されます。
書類に不備がない場合で必要な期間は約2ヶ月です。
児童扶養手当が認定されると、申請した月の翌月分から支給の対象になります。
児童扶養手当は個々のケースによって必要な書類がさまざま。
手続き前に市区町村に必ず確認しましょう。
出生届の提出と同時に手続きを行うことも可能です。
児童扶養手当が支給されると、毎年8月に郵送される現況届の提出が必要だよ。
養育費の金額や事実婚の有無など、デリケートな内容の記入が必要なことも。
11月分以降も手当を受け取るためにも、本当のことを記入しよう。
手当がもらえなくなる?未婚シングルマザーが知っておきたい注意点とは
未婚シングルマザーを対象とした福祉制度はいくつかあります。
ですが、未婚のまま第2子を授かった場合や事実婚をしている場合には、福祉制度を活用できなくなる可能性があります。
・児童扶養手当
・ひとり親控除
・ひとり親家庭等医療費助成制度
とくにこれらの制度の可否に影響することが多いようです。
これから先、ママと子ども1人の生活から異なる状況になるときには、市区町村に確認しましょう。
まとめ
未婚で出産する場合の手当の種類や申請方法をご紹介しました。
ママ一人での妊娠・出産は心細く感じてしまうもの。
やらなければならない手続きも多く、大変かもしれません。
体調が良いときに少しずつ調べたり準備したりすることで、スムーズに手当を受け取ることができますよ。